こんばんは、カカシです。
「優性/劣性を見極めるためには?」も、今回で3回目を迎えました。過去の記事は、カカシの思考をそのまま文章化したため、記事単体としてはもちろん、記事相互間のまとまりも悪く、とても読みづらいものになっていました(反省してます)。そこで、過去の記事を見直して、記事相互間を参照しやすいように整理しました。再読していただいて、少しでも話の流れが掴みやすくなっていれば幸いです。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
さて、本題に入ります。
異なる形質をもったバニーの固定ペアで繁殖を繰り返すという前提では、両親のそれぞれの形質をもった子どもだけが産まれる可能性が考えられます。そこで今回は、「このような繁殖結果が得られた場合に、両親の形質として現れている2つの遺伝子の優性/劣性を見極めることができるのか?」について、検討してみたいと思います。
[目次]優性/劣性を見極めるためには?
A.同じ形質をもったバニーの固定ペアで繁殖を繰り返したとき -- 記事その1
B.異なる形質をもったバニーの固定ペアで繁殖を繰り返したとき
- B-1.両親のどちらかの形質をもった子どもだけが産まれた場合 -- 記事その2
- B-2.両親のそれぞれの形質をもった子どもだけが産まれた場合(今回)
B-2.両親のそれぞれの形質をもった子どもだけが産まれた場合
このような繁殖結果が生じる固定ペアの形質には、2組の可能性が考えられます。「ステータスに表示された遺伝子 - 表示されない遺伝子」というように、遺伝子の組み合わせで形質を表して、その2組を説明していくことにします。
まず、1組目の可能性(P-1)です。
(P-1)
親Aの形質:「親Aの形質として現れた遺伝子 - 親Aの形質として現れた遺伝子以外」
親Bの形質:「親Bの形質として現れた遺伝子 - 親Bの形質として現れた遺伝子」
※「親Aの形質として現れた遺伝子以外」=「親Bの形質として現れた遺伝子」という可能性あり
このP-1で、遺伝子の優性/劣性を次のように仮定してみると、
- 親Aの形質として現れた遺伝子 / 親Bの形質として現れた遺伝子(両親の関係)
- 親Aの形質として現れた遺伝子 / 親Aの形質として現れた遺伝子以外
- 親Bの形質として現れた遺伝子 / 両親の形質として現れた遺伝子以外
表1のとおり、親Aと親Bの形質をもった子どもだけが産まれる結果になります。なお、「親Aの形質として現れた遺伝子以外」=「親Bの形質として現れた遺伝子」の場合でも、表の関係が成立することに注意してください。但し、P-1だけでは、「親Aの形質として現れた遺伝子以外」を特定することはできません。
(表1)P-1で繁殖を繰り返して、両親のそれぞれの形質をもった子どもだけが産まれる場合
次に、2組目の可能性(P-2)です。
(P-2)
親Aの形質:「親Aの形質として現れた遺伝子 - 親Bの形質として現れた遺伝子」
親Bの形質:「親Bの形質として現れた遺伝子 - 親Aの形質として現れた遺伝子以外」
※「親Aの形質として現れた遺伝子以外」=「親Bの形質として現れた遺伝子」という可能性あり
このP-2でも、遺伝子の優性/劣性を次のように仮定してみると、
- 親Aの形質として現れた遺伝子 / 親Bの形質として現れた遺伝子(両親の関係)
- 親Aの形質として現れた遺伝子 / 親Aの形質として現れた遺伝子以外
- 親Bの形質として現れた遺伝子 / 両親の形質として現れた遺伝子以外
表2のとおり、親Aと親Bの形質をもった子どもだけが産まれる結果になります。なお、「親Aの形質として現れた遺伝子以外」=「親Bの形質として現れた遺伝子」の場合でも、表の関係が成立することに注意してください。但し、P-2だけでは、「親Aの形質として現れた遺伝子以外」を特定することはできません。
(表2)P-2で繁殖を繰り返して、両親のそれぞれの形質をもった子どもだけが産まれる場合
<親子の関係>
両親とは違う形質が子どもに現れた場合、少なくとも両親のどちらかが「両親とは違う形質として現れた遺伝子」を隠しもっていることになります。反対解釈すると、両親とは異なる形質が子どもに現れなければ、以下の関係が成立すると考えられます。
※他の検証を加えなければ、「両親の形質として現れた遺伝子以外」を特定することはできません。
- 親Aの形質として現れた遺伝子 / 両親の形質として現れた遺伝子以外
- 親Bの形質として現れた遺伝子 / 両親の形質として現れた遺伝子以外
ここで、優性の法則から、「親Aの形質として現れた遺伝子は、親Bの形質として現れた遺伝子に対して優性である」と仮定すると、次のような優性/劣性の関係が導きだせます。
※他の検証を加えなければ、「親Aの形質として現れた遺伝子以外」と「両親の形質として現れた遺伝子以外」を特定することはできません。
- 親Aの形質として現れた遺伝子 / 親Aの形質として現れた遺伝子以外
- 親Bの形質として現れた遺伝子 / 両親の形質として現れた遺伝子以外
あとは、母親と父親のどちらが親A(または親B)にあたるのかを特定するだけです。
<両親の関係>
P-1とP-2では、優性の法則から、「親Aの形質として現れた遺伝子は、親Bの形質として現れた遺伝子に対して優性である」と仮定しました。なので、「P-1とP-2の繁殖結果(表1と表2)を観察するだけで、親Aの形質(または親Bの形質)が両親のどちらの形質にあたるのかを特定できるか?」を検討すれば、それは今回のテーマを検討することと同じだと言えるでしょう。
表1と表2に注目します。いずれも、親Aの形質をもった子どもと親Bの形質をもった子どもは1:1の比率で産まれてきます。これはつまり、母親の形質と父親の形質が1:1の比率で子どもたちに受け継がれるということです。そうすると、子どもに現れた形質を観察するだけでは、母親と父親の形質が現れる違いを見つけることができないことが分かります。
したがって、今回の結論になりますが、「両親のそれぞれの形質をもった子どもだけが産まれた」という繁殖結果だけでは、両親の形質として現れている2つの遺伝子の優性/劣性を見極めることはできないと思います。
とは言え、この結果がまったく役に立たない訳ではありません。子どもには両親の形質だけが現れるので、親のどちらかとその親と同じ形質が現れた子ども、または、同じ形質が現れた子どもたちで新しい固定ペアを組ませて繁殖を繰り返させれば、両親の形質に現れた遺伝子の優性/劣性を判断できる可能性が残されています。
例えば、母親の形質をもったバニーたち(母親と母親の形質が現れた子ども、または、母親の形質が現れた子どもたち)で新しい固定ペアを組ませて繁殖を繰り返し、その子どもに父親の形質が現れたなら、母親の形質に現れた遺伝子と父親の形質に現れた遺伝子との関係で、前者が優性、後者が劣性だと判断できます(この理由は、記事その1をご覧ください)。
(注意)新しい固定ペアの繁殖結果は、以下の場合もありえます。
- 新しい固定ペアの形質しか現れない場合 -- 少なくとも、ペアのどちらかの形質が「形質に現れた遺伝子 - 形質に現れた遺伝子」という純系だと考えられます。
- 両親とは違う第三の形質が現れる場合 -- ペアの形質として現れた遺伝子と第三の形質として現れた遺伝子との関係で、前者が優性、後者が劣性だと判断できます。
最後に、今回のポイントをまとめておきます。
延々と述べた理由はともかく、以下のことを覚えていただければ、繁殖で役に立つかと思います。
- 異なる形質をもったバニーの固定ペアで繁殖を繰り返すと、両親のそれぞれの形質をもった子どもだけが1:1の比率で産まれる場合がある。
- 1の繁殖結果が得られただけでは、両親の形質に現れた2つの遺伝子の優性/劣性を判断することはできない。
さらに進んで!
1の繁殖結果を得られた後、同じ形質をもった親と子ども、または、同じ形質をもった子どもたちで新しい固定ペアを組ませて繁殖を繰り返させれば、両親の形質に現れた2つの遺伝子の優性/劣性を判断できる可能性がある(参照:記事その1)。
※皆さんも、独自の考察をお持ちだと思います。掲示板などで、ぜひ披露してください。
※この投稿はカカシの私見を交えたもので、Ozimalsの公式見解ではありません。皆さんの意見交流の叩き台にしてもらえると、嬉しく思います。コメント歓迎します!
※この投稿はカカシの私見を交えたもので、Ozimalsの公式見解ではありません。皆さんの意見交流の叩き台にしてもらえると、嬉しく思います。コメント歓迎します!
カカシのウサギ研究は、繁殖のしくみをテーマに、「遺伝子の組み合わせや遺伝子の優性/劣性を判断する方法を一般公式化すること」を目指します。個別の事案については、Ozimals Bunnyを飼う楽しみとして皆さんに解き明かしてもらいたいので、できるだけネタバレしないよう心掛けていくつもりです。一方で、抽象的な説明になってしまって、小難しく思われるかも知れません。もしこうしたほうが分かりやすいなどのご意見・ご要望がありましたら、遠慮なくコメントしてください。
[最終更新]2011年09月01日
考察というか素朴な疑問なんですけど
スターターキットから産まれる子は必ず優性遺伝子と劣性遺伝子の
組み合わせみたいですが繁殖を繰り返してるうちに
優性遺伝子A-優性遺伝子B
もしくは
劣性遺伝子C-劣性遺伝子D
この組み合わせの子が産まれてきますよね?
この優性遺伝子同士のAB間、もしくは劣性遺伝子同士のCD間でも
A<BやC<Dのような発現率の優位性はあるのでしょうか?
私のところですとひどく偏って生まれてくるように思えるのですが。
MementoMoriさん、コメントありがとうございます。
>A<BやC<Dのような発現率の優位性はあるのでしょうか?
・遺伝子A-遺伝子B
・遺伝子C-遺伝子D
というように、
バニーの形質として、異なる遺伝子が組み合わされた場合、
形質としての現れやすさを比較する意味で、
・遺伝子A>遺伝子B(または、遺伝子A<遺伝子B)
・遺伝子C>遺伝子D(または、遺伝子C<遺伝子D)
といった優性/劣性の関係が認められます。
この関係を「発現率の優位性」と呼ぶのなら、あると答えられます。
これは、『Ozimals Bunny』が、
・SL向けに修正された、実際の優性/劣性の遺伝システム(genetics system)
を採用しているので、
繁殖には、優性の法則が当てはまると考えてよいからです。
----------------------------------------
ところで、MementoMoriさんのコメントの中で、
>スターターキットから産まれる子は
>必ず優性遺伝子と劣性遺伝子の組み合わせみたいですが
という部分がちょっと気になったのですが、
おそらく、掲示板に翻訳転載した
つぎの投稿を誤解されているのではないかと思います。
『(完全リスト)Fur、 Eyes、Ears、Shadeの遺伝子』
http://mb1.net4u.org/bbs/ozimals/article/id5
このリストの優性/劣性(dominant /recessive)は、
ちょっと特別な意味で使われていて、
『(補足レス)
何が「優性と劣性」あるいは「劣性」だって言ってるの? 』
http://mb1.net4u.org/bbs/ozimals/article/id13
こちらをご覧くだされば理解してもらえると思いますが、
少し説明しますね。
----------------------------------------
このリストで使われた優性/劣性という言葉は、
「遺伝子A(優性)>遺伝子B(劣性)」といった
形質としての現れやすさを比較する生物学的な意味ではなくて、
バニーのステータスに、
・表示される遺伝子である(優性)
・表示されない遺伝子である(劣性)
という、特別な意味で使われています。
一見すると、同じ意味のよう思えますが、
・遺伝子A-遺伝子A
のような同じ組み合わせの場合にその違いが見られます。
この場合、リストの意味に従えば、
遺伝子Aは優性であり、劣性でもあると言えます。
(生物学的な意味とは違いますよね)
つまり、
リストが示すのは、以下のことになります。
「優性/劣性」とラベルされた遺伝子は、
スターターキットから産まれたバニーが
・ステータスに表示することがあるし、
・表示しないで隠し持っていることもある
「劣性」とラベルされた遺伝子は、
スターターキットから産まれたバニーが
・ステータスに表示することはなく、
・表示しないで隠し持っていることがあるだけ
----------------------------------------
なので、バニーの形質が、
・「優性」遺伝子A-「優性」遺伝子B
・「劣性」遺伝子C-「劣性」遺伝子D
というように、
リストで同じラベルとされた遺伝子が組み合わされたとしても、
形質としての現れやすさは、
・遺伝子A=遺伝子B
・遺伝子C=遺伝子D
という訳ではありません。
先に述べたように、異なる遺伝子が組み合わされた場合は、
形質としての現れやすさを比較する意味で、
・遺伝子A>遺伝子B(または、遺伝子A<遺伝子B)
・遺伝子C>遺伝子D(または、遺伝子C<遺伝子D)
といった優性/劣性の関係(発現率の優位性)が認められます。
----------------------------------------
これで、MementoMoriさんの疑問が解けたでしょうか?
カカシは説明下手を自覚してますので、
分かりにくい説明があれば、遠慮なくご質問ください。