こんばんは、カカシです。
今回は、異なる形質をもったバニーの固定ペアで繁殖を繰り返して、両親の形質だけでなく、両親とは違う形質をもった子どもも産まれた場合を検討したいと思います。
[目次]優性/劣性を見極めるためには?
A.同じ形質をもったバニーの固定ペアで繁殖を繰り返したとき -- 記事その1
B.異なる形質をもったバニーの固定ペアで繁殖を繰り返したとき
B-3.両親の形質だけでなく、両親とは違う形質をもった子どもも産まれた場合
この場合、二つの事例が考えられます。一つ目は、両親のどちらかの形質をもった子どもと両親とは違う形質をもった子どもが産まれた事例です(事例ⅰ)。二つ目は、両親のそれぞれの形質をもった子どもと両親とは違う形質をもった子どもが産まれた事例です(事例ⅱ)。
事例ⅰ.
両親のどちらかの形質をもった子どもと両親とは違う形質をもった子どもが産まれた
「ステータスに表示された遺伝子 - 表示されない遺伝子」というように、遺伝子の組み合わせで形質を表すと、事例ⅰを満たすペアには次のPⅰが考えられます。
[Pⅰ]
親Aの形質:「親Aの形質として現れた遺伝子 - 両親とは違う形質として現れた遺伝子」
親Bの形質:「親Bの形質として現れた遺伝子 - 子どもの形質として現れない遺伝子」
※「子どもの形質として現れない遺伝子」=「親Bの形質として現れた遺伝子」という可能性あり
このPⅰで、遺伝子の優性/劣性を次のように仮定してみると、
- 親Aの形質として現れた遺伝子 / 親Bの形質として現れた遺伝子(両親の関係)
- 親Aの形質として現れた遺伝子 / 子どもの形質として現れない遺伝子
- 両親とは違う形質として現れた遺伝子 / 親Bの形質として現れた遺伝子
- 両親とは違う形質として現れた遺伝子 / 子どもの形質として現れない遺伝子
表1のとおり、親Aの形質をもった子どもと両親とは違う形質をもった子どもが産まれる結果になります。なお、「子どもの形質として現れない遺伝子」=「親Bの形質として現れた遺伝子」の場合でも、表1の関係が成立することに注意してください。但し、Piだけでは、「子どもの形質として現れない遺伝子」を特定することはできません。
(表1)Pⅰで繁殖を繰り返して、
親Aの形質をもった子どもと両親とは違う形質をもった子どもが産まれる場合
親Aの形質をもった子どもと両親とは違う形質をもった子どもが産まれる場合
<親子の関係>
まず、親子の関係、すなわち、両親のそれぞれの形質として現れた遺伝子(両親)と両親とは違う形質として現れた遺伝子(子ども)の関係を考えてみます。
両親とは違う形質が子どもに現れた場合、少なくとも両親のどちらかが「両親とは違う形質として現れた遺伝子」を隠しもっていることになります。ここで、以下の3組のペアが考えられます。
[ペア1]
親Aの形質:「親Aの形質として現れた遺伝子 - 両親とは違う形質として現れた遺伝子」
親Bの形質:「親Bの形質として現れた遺伝子 - ? 」
[ペア2]
親Aの形質:「親Aの形質として現れた遺伝子 - ? 」
親Bの形質:「親Bの形質として現れた遺伝子 - 両親とは違う形質として現れた遺伝子」
[ペア3]
親Aの形質:「親Aの形質として現れた遺伝子 - 両親とは違う形質として現れた遺伝子」
親Bの形質:「親Bの形質として現れた遺伝子 - 両親とは違う形質として現れた遺伝子」
この3組のペアを使って、優性の法則から、「親Aの形質として現れた遺伝子は、親Bの形質として現れた遺伝子に対して優性である」と仮定すると、両親のどちら(あるいは両方)が「両親とは違う形質として現れた遺伝子」を隠しもっているのかを判断できます。
各遺伝子の組み合わせを調べていくと、事例ⅰを満たすのはペア1とペア3だと分かるでしょう。そして、次の優性/劣性の関係を確認できると思います。
※?は、「子どもの形質として現れない遺伝子」です。
- 親Aの形質として現れた遺伝子 / 両親とは違う形質として現れた遺伝子
- 両親とは違う形質として現れた遺伝子 / 親Bの形質として現れた遺伝子
- 両親とは違う形質として現れた遺伝子 / ?
※他の検証を加えなければ、「子どもの形質として現れない遺伝子」を特定することはできません。
以上から、事例ⅰの場合、両親とは違う形質として現れた遺伝子は、親Aの形質として現れた遺伝子に対して劣性で、親Bの形質として現れた遺伝子に対しては優性だと考えられます。あとは、母親と父親のどちらが親A(または親B)にあたるのかを特定するだけです。
<両親の関係>
Pⅰでは、優性の法則から、「親Aの形質として現れた遺伝子は、親Bの形質として現れた遺伝子に対して優性である」と仮定しました。なので、「Pⅰの繁殖結果(表1)を観察するだけで、親Aの形質(または親Bの形質)が両親のどちらの形質にあたるのかを特定できるか?」を検討すれば、それは両親の関係で、遺伝子の優性/劣性を見極めることと同じだと言えるでしょう。
表1を観察すると、親Aの形質をもった子どもと両親とは違う形質をもった子どもが1:1の比率で産まれること、そして、親Bの形質をもった子どもは産まれないことが読み取れます。このことから、親Aの形質は子どもに受け継がれる親の形質で、親Bの形質は受け継がれない親の形質だと判断できます。
そうすると、親のどちらかの形質をもった子どもと両親とは違う形質をもった子どもが1:1の比率で産まれていると観察できれば、子どもに受け継がれた親の形質として現れた遺伝子が優性で、受け継がれなかった親の形質として現れた遺伝子が劣性だと推定してよいと考えられます。
親子の関係で上記の推定を利用すると、親のどちらかの形質をもった子どもと両親とは違う形質をもった子どもが1:1の比率で産まれていると観察できれば、両親とは違う形質として現れた遺伝子は、子どもに受け継がれた親の形質として現れた遺伝子に対して劣性で、受け継がれなかった親の形質として現れた遺伝子に対しては優性だと推定してよいと考えられます。
※重要※
- 上記の推定は、観察した子どもの数に比例して信頼度が増します。3~4羽程度では繁殖結果が偏るかも知れないので、誤まった推定になるかも知れません。
- もし確実に判断したいならば、両親とは違う形質をもった子どもたちで何組かのペアを組んで、繁殖を繰り返してください。子ども世代には現れなかった親の形質が孫世代に現れれば、その推定は確実だと思います(理由は、記事その1をご覧ください)。
最後に、今回のポイントをまとめておきます。
延々と述べた理由はともかく、以下のことを覚えていただければ、繁殖で役に立つかと思います。
- 異なる形質をもったバニーの固定ペアで繁殖を繰り返すと、両親のどちらかの形質をもった子どもと両親とは違う形質をもった子どもが1:1の比率で産まれる場合がある。
- 1の場合、両親の関係で、子どもに受け継がれた親の形質として現れた遺伝子が優性で、受け継がれなかった親の形質として現れた遺伝子が劣性だと推定してよい。
- 1の場合、親子の関係で、子どもの形質として現れた遺伝子は、子どもに受け継がれた親の形質として現れた遺伝子に対して劣性だと推定してよい。
- 1の場合、親子の関係で、子どもの形質として現れた遺伝子は、子どもに受け継がれなかった親の形質として現れた遺伝子に対して優性だと推定してよい。
※重要※
- 観察した子どもの数が少ないと、2~4で誤まった推定をするかも知れない。
- 確実に判断したければ、両親とは違う形質をもった子どもたちで何組かのペアを組んで、繁殖を繰り返すとよい。子ども世代には現れなかった親の形質が孫世代に現れれば、その推定は確実と言える(参照:記事その1)。
※皆さんも、独自の考察をお持ちだと思います。掲示板などで、ぜひ披露してください。
※この投稿はカカシの私見を交えたもので、Ozimalsの公式見解ではありません。皆さんの意見交流の叩き台にしてもらえると、嬉しく思います。コメント歓迎します!
カカシのウサギ研究は、繁殖のしくみをテーマに、「遺伝子の組み合わせや遺伝子の優性/劣性を判断する方法を一般公式化すること」を目指します。個別の事案については、Ozimals Bunnyを飼う楽しみとして皆さんに解き明かしてもらいたいので、できるだけネタバレしないよう心掛けていくつもりです。一方で、抽象的な説明になってしまって、小難しく思われるかも知れません。もしこうしたほうが分かりやすいなどのご意見・ご要望がありましたら、遠慮なくコメントしてください。
[最終更新]2011年09月01日
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